6.手術前後その2


本当に、入院した途端に体力が半分ぐらいになってしまいました。
何故なんでしょうかね? もしや検査に行く以外、ベッドで寝てるだけだからかもしれません。主治医には「座ってるだけでも体力つくんだから寝てないで」と怒られたりしてましたが、数日の内に私はほとんど寝たきりになってしまったのです。


体力的に80歳ぐらいと同レベルになってしまってると主治医に言われ、手術が1ヶ月延期になってしまいました。体力がなさすぎて手術ができないと言われてしまったのです。
とりあえず点滴で腫瘍を小さくする薬を入れたり、心臓の上からカテーテルで食事代わりの高カロリー点滴いれたり。その頃は毎日点滴を7種ぐらいぶら下げていたんじゃ無いかと思います。私には何の薬だかさっぱり分かっていませんでしたが、後半はそこにさらに輸血までプラスされる始末でもう大変(笑)
つらいからやだと言ったのに、胃カメラも、主治医が「自分で見ないと手を打てませんから」と、またするはめになりました。
でも実は、同じ病棟に入院していたお婆さんに、私は毎回麻酔で眠ってからしてもらってるから楽よ」と教えられて、そのまま主治医に頼んだ所、私なら大丈夫でしょう、としても在る事になり、大変ラッキーでした。これできる人と出来ない人があるそうなのですが、皆さんも一回頼んでみるといいと思いますよ。
寝ている内に終ってしまうので、本当に楽です。
まあ、たまにはやっぱり自分のおえおえしてる音で目がさめる時もあるけれど。


あと、手術時に麻酔をかけるとそれまでの人生で肺に溜ってる痰が纏まって出てくるそうで、そのままにしてると肺炎になってしまうそうなので、必死に痰を吐く練習をつまされます。
でもこの強制的に咳をおこさせ、痰を出させる装置が、辛いんですよ。
毎日しろと言われても、咳なんて患部にダイレクトにくるものを、率先してするのは辛いです。
実は22歳で禁煙しましたので、10年ぐらい煙草を吸っていなかったのですが、それでも肺の中には脂が残っているそうです。無くならないんですね。
で、喫煙してる人程痰が多いそうです。
禁煙してて良かったと、つくづく思いました。


でも一月たっても体力は戻りませんでした。
その一ヶ月の状態と言えば、毎日熱が38度を下がりません。
毎日解熱剤を6時間おきに飲むんですが、効いてる間だけ37度2歩ぐらいになります。が、切れた途端に一気に38度5歩オーバーに上がっちゃいます。毎日これの繰り返しで、もう、リンパを冷やす氷も間に合わない状態です。すごい時は37度から42度まで一気に上がった事がありまして、偉い勢いでがたがた身体がベッドごと揺れまして「おお〜」という感じで笑ってしまいました。
でも笑うと腫瘍が痛いので、必死に笑わないようにしていたような思い出が………。
で、熱が上がる時は患部も一緒に疼きます。
42度の時は痛かったですねえ〜。笑ってる場合じゃございませんね。
でも毎日毎日そんなに熱が出ていると、それが普通になってしまうんですよ。
そのときも普通にいつも通りトイレに行ってから(点滴していると2時間おきにトイレです)、熱を測ったら42度で、さすがにこのままじゃ脳がやられると(笑)看護士さんに多めに氷を貰う事にしました。解熱薬は毎日のみ続けていますので、連続使用が出来ないと言われてしまったのです。


そんな状態でしたので、すっかり寝たきりです。
そうそうお金のかかるテレビも見れませんから、ただただ静かに寝たきりでした。
何をして過ごしていたのかと言えば、ただずっと落ちる点滴を見ていました。
何時間も見てました。もう飽きるとかそういうレベルでは無く、他に動く物が無いからそれですら見てて嬉しいと言うか………。
何しろ本を読む気力も体力も無くなっていたのです。


ある日主治医が部屋に駆け込んで来まして、
「もうこれ以上様子見をしても無駄でしょう。すぐにでも手術です」と重々しく言いました。
っていうか、即行で手術だと思ってましたから、私的には「だから早くッて言ったてたのに〜(怒)」だったんですけどね。
が、もっとショックな一言が。
「で、イレウス起こしてる状態ですから、たぶん腸を切った部分を縫えません」
「は?」
手術では大腸を半分ばっさり切除すると言われていたんです。でも縫わなくて平気なの?
「平気です」
でも、腸液が体内にでちゃうと、炎症起こして2年以内で絶対死ぬと言われる程、強力なアルカリ性の液体なんですよねえ〜?
「放っといても癒着するような内臓だから、そのままにしててもくっついちゃうから」
は〜。そうですか………
もう気分は俎板の上の鯉ですので、スキにして状態です。
っていうか、もう、患部が痛くてですね。その痛みを取り除いてくれるなら、今通り魔にさされて殺されてもいいと思う程、痛い訳ですよ。
ホント、癌の患者が自殺しちゃうのって、そういう理由なんですね。
まじ痛いです。これがいつまでも続くのかと思うと、死にたくなります。
家族が思ってる程には、患者は延命治療して欲しいとは思ってませんね。
で、やっと手術ですから。今更ぐたぐた言って延期にでもなったら、死んでも死に切れません。いや、いっそ死んだ方が楽。
しかし、やはり、手術前に在る程度成功度数とか聞いていたいですよね?
が、医者に何度聞いても、
「開けてみるまでわかりません」と言うばかりで埒が空かない。
確かに、毎日のようにレントゲンとか撮ってましたけど、正確な所は解りませんし。
お腹を開けてリンパも一緒に採って、それを病理検査して、ようやく転移とか判るらしいんです。
だから、患部だけじゃなく、大腸を半分切除になってしまったのでした。
皆さんも、手術の前には絶対医者に聞くと思います。
でも絶対言われます。開ける迄判らないって。


あと、お腹の切り方でもその後の経過が変って来ます。
私は縦に30センチぐらい切りました。胃の部分から下腹まで真直ぐ。
ですが、場合によっては腹筋横切りでも済みます。
腹筋を横切りした方が、手術後の寝起きや座ったり立ったりの動作が楽なのです。
先に子宮筋腫で入院してた同室の患者さんにその話を聞いていまして、医者に言ったら、検討してみると言われました。
その病院では、外科の担当医が皆で最適な手術の方法を会議してきめるそうなので、執刀医の一存では決められないのだそうです。
が、手術前日、やっぱり立て切りに確定してしまいました。残念でした。
あと、もっとショックな事に、ストーマをつけると言われてしまったのです。
いやもうショックでした。1/4世紀以上は生きているとは言え、1/3世紀未満しか生きていないそんな歳でストーマつけてる人はあんまりいません。
目の前真っ暗です。
が、それは、例の縫えない場所がくっつくまでの間だけだそうで、くっついて、体力が回復したら取れると言われて一安心(^^ゞ
が。取るにはまた手術しないといけないのですが。
でもまあ、明日の手術が成功するか、50/50と言われていたので、2度目の手術出来るだけラッキーなんですよね。
手術で切るだけで治る癌は、ラッキーの部類なんですから。



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