8.手術前後その4


それからは早かったんじゃ無いかと思います。痛い所が無くなると気分的に安定しますから、それまで出来なかった事もする気になりました。熱も37度前後になりましたし。


相変わらず絶飲絶食は続いていましたが、ストーマの調子もイイです。あれって、毎日清潔にしなきゃならないんで毎日看護士さんが洗ってくれます。で、退院するには自分でやりかたを覚えなければいけないからと、看護士さんがやってくれるのを一緒に見ます。看護士さんが大きさを毎日チェックします。あれって、日に日に小さくなる物なんですね。
私はストーマってモノがあって、それを患部に埋め込むのかと思っていたのですが、なんか自分の腸がまんまむき出しに肌表面に出ているだけなんですね。最初見た時はショックでしたね〜。良く言えばお腹に花が咲いてるみたい(笑)悪く言うとスプラッタ。
医者はこれは改心の作だといってました。そーゆーもんなのか〜? と首をひねりつつ、まあ便秘とは無縁だからいいか、と、無理矢理利点を探したりしてました。
ただ備品が高すぎると思います。一袋3000円とか………。そんなの一日でダメにしちゃう事も在るんだからやってられんですよ。注文もいちいち売店に注文出さなきゃいけないし。保険がきくからいいっていうけど、ちょっとこれに関しては笑えません。
あと、腸液は強いので肌につくとそこから炎症をおこしてしまいます。そうなってしまうとテープを張るのも一苦労。あと枠が堅いので腹に食い込む事が在りまして、やはり利点よりは遥かに不便な物でした(今は手術で取り去りましたので、すっきり過去形で言えるのが嬉しいです)。


しかし、腹筋たて切り30センチの影響が出て来ました。
取りあえず毎日立って動いてという、それだけの作業ができるまでには回復したのですが、幾つか弊害が出て来ました。
ベッド脇の棚からタオルとかを取ろうとしゃがみ込んだら、立ち上がれなくなってしまったのです。膝に力も入らないし、腕をつっぱる場所もなく、その時は本当に途方にくれました。腹の力が無いと立ち上がれないのかとショックでしたねえ。
それから、身体をまっすぐにすることが出来なくなっていました。
実は腸の手術をすると、腰骨や股関節に影響が出る人が在るそうです。
前屈みでしか歩けなくておまけにがに股だったので看護士さんに慌てられてしまったのですが………すいません。私は単にがに股です。
じゃあ何が原因かと言えば、腹の縫った部分が収縮していて、お腹が伸ばせなくなっていたのでした。
これはいろいろ大変でした。まず寝て起きる時が問題でした。腹が突っ張るんで真直ぐ仰向けに寝る事が出来ません。仕方ないので横向きに寝ます。でも横向きになってもまだ辛いです。幸い病院のベッドは電動式リクライニングですから、頭の方に角度をつけておく訳です。そうしてやっと眠れる感じでしょうか。しかし、点滴を入れているので、昼だろうと夜だろうと2時間おきにトイレに行きたくなりますんで、頻繁に起きなきゃなりません。リクライニングをもっと起こして、身体を一緒にベッドに起こしてもらってからおりる訳ですが、夜中は音が気になりますから気を使います。しかも慌ててる時にこんなに段階を踏むのはかなり辛いです(苦笑)
結局この方法で2ヶ月過ごしましたね。歩く時などはまっすぐ立てるようになったのですが、寝るのはまだまだ無理でした。
結局退院してから家でこわごわと真直ぐな布団で寝てみたのですが、横向きにしかなれませんでした。
たぶん1年ぐらい、仰向けやうつ伏せには成れなかったんじゃ無いかと思います。
つくづく、手術はその後の方が大変なんだなと思い知らされました。


手術して1ヶ月ぐらいして、ようやく水分をとっていいと許可が出ました。
飲んでみて不調が出なければ食事に入ると言われて、本当に嬉しかったです。
で、いきなり珈琲や紅茶を飲んで、また医者に温く笑われたり。
で、ようやくその後「明日から食事でますから」と言われた時は、本気で嬉しかったですね〜。2カ月前に吐く程嫌だと思ってた事など棚にあげて。
実際、次の日の朝、食事が(全粥ですが)来て、目の前で見た時には涙が止まりませんでした。いやまさか御飯見て泣くとは………。
で、うれしくてですね、全部食べたんですよ。そしたらやっぱり医者に怒られてしまいました。でもでも出された物は全部食べなさいって事だと思うじゃ無いですか!
でも実際、自分でも辛かったですけど。
2ヶ月も絶食していた胃が全然動いていないんです。で、食事を始めると、げっぷがすごくて食べられないんですね。3口でお腹一杯の感じになってしまって大変。
その後、食事時間は一時間しかありませんから、ゆっくりと、でも計画的な分量で食べられる分だけ食べるようにしましたら、徐々にげっぷは収まりまして。
7歩粥を食べらるようになる頃には、体力はすっかり歳相応に戻っておりました。



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